米国トランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の激しい口論と会談の決裂は、世界中に大きな波紋と影響を与えました。 筆者の前回の米国トランプ大統領の話題(前回14号「トランプ大統領登場1か月と情報の洪水への向き合い方」)の中で指摘した「すべての事象を水面上でアピールして、次から次にアドバルーンをあげていくことで進めていくフラッド・ザ・ゾーン戦略(情報の洪水で溺れさせる戦略)の巧みさ」に、筆者も、毎日のトランプ関連情報に一喜一憂しながら情報洪水に溺れている一人かもしれません。 米ウクライナ首脳会談決裂の日経電子版の速報ニュース(3/1発信の速報)の、日経「Think!」(これは、有識者が日経電子版記事にコメントする機能で、それに読者がいいねマーク「👍」をつけていく機能あり)で、8名の有識者がコメントしています。 米国政治や国際政治が専門のアカデミアの先生に加え、交渉術がたけている方、弁護士、ライターの方など多様な方からのコメントが、大変面白くて参考になります。 その中でも圧倒的にいいねマーク「👍」がついていたのは、日経新聞の欧州の責任者の方でした。 読者の関心や考え方と歩調が合うコメントを見出せる機能で、とても面白いです。同様の機能は、朝日新聞の「コメントプラス」にもあり、こうした仕組みを取り入れているマスメディアは増えています。単なるニュースの速報以上の付加価値があります。 以前、筆者のメルマガ12号で、 「・・・SNSはどう利用するのか、情報のバイアスはあるのかないのか、発信している方は有識者や専門家の位置づけなのかなど、情報の基礎的な土台が十分に確保されておらず、揺らいでいます。かつての社会を動かす仕組みが大きく変わってきていることに対して、どう情報にアクセスして評価して対処していくかは、何を考えるにしても基礎的な土台だと思います。」 ということを記述しました。 こうした複層的な見方やコメントを有効に活用することこそ、「情報リテラシー」の一歩ではないかと思います。皆様、様々な工夫をされていると思いますが、こうした機能も意識して活用ください。 1冊の書籍(マンガ)を紹介します。北村みなみ著『あさってのニュース』(筑摩書房、2024年12月、1,600円+税)です。表題に惹かれました。「あさっての」のキャッチがとても良いです。 足元のニュースに一喜一憂しない、どんな未来を考えるの・・・など、視野が広がり、気持ちが少し明るくなります。テーマは、新しいテクノロジーです。「AIと労働」「メガスマートシティ」「地球外移住計画」「ディープフェイク」「マイクロプラスティック」「記憶の木」などのテーマでのマンガ構成です。 今、現実の政治や経済や社会に絡め囚われているような我々が、実は、目の前にテクノロジーがもたらす新しい世界の入り口にたっていること、明るい未来だけではなく怖しい未来も待っていることを時々考えておく必要があります。 マンガ仕立てで読みやすいので、お時間のある方は手にとってみてください。「フラッド・ザ・ゾーン戦略」に右往左往しすぎないように、こうした「あさってのニュース」も意識し考えることが大事な時代に入ってきました。 皆さんからも、本エッセイ含めてご意見お寄せください。 (2025年3月9日 記(東日本大震災から14年を迎える直前に)) イノベーション・インテリジェンス研究所 幸田博人) |
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