横浜市立大学 国際商学部でアントレプレナーシップとスタートアップを経営学分野で研究している伊藤智明と申します。
公立大学法人横浜市立大学に私が着任したのは2023年10月になります。その年の11月24日に2名の学長候補による所信表明を聞きました。12月20日に次期学長予定者の告示があり、2024年4月から石川義弘氏が学長になりました。
2024年度は、我が国における大学が社会でどのような機能や役割を果たしていくのかをいよいよ宣言していくタイミングになったと感じています。石川学長は所信表明で「ピンチをチャンスに」とおっしゃっていました。この「ピンチをチャンスに」という標語からは、客観的に現状を捉えるとピンチかもしれないが、視点を変えればチャンスと見なすこともできるというニュアンスを読み取ることができます。
ところで、2025年4月は私がアントレプレナーシップとスタートアップを大学院で研究し始めてから約14年になります。この年月で勉強したことを踏まえて、「ピンチをチャンスに」をより実効的な標語にするために、「ピンチをエンターテインメントに」と私は発信していきたいと思います。
「ピンチをチャンスに」は状況の捉え方を変えようということで、そこからどのようなアクションをして、どのような成果を上げて、どのような未来にしていくのかについては、十分に伝えられないかもしれません。
「ピンチをエンターテインメントに」と発信することで、ある瞬間だけを見ると「存亡の危機」に思えるかもしれないが、必ず生き残って「笑い話にする」という決意を受け手に届けられます。
さらには、どのように大学経営の危機の時代を生き抜いていくのかが重要になります。
本学は2025年1月24日、文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択されました。
この事業での支援経費を何にどれぐらいどのタイミングで配分し、いかに大学の資産蓄積につなげていくのか。こうした判断には、これまでの公立大学法人の経営でほとんど必要とされてこなかったかもしれない「経営リテラシー」の向上が不可欠になります。
経営リテラシーがなければ、何のために経費を配分するのかの判断が短絡的、短期的、局所的なものとなり、そうした判断を繰り返していけば、「私たちの大学がなくなる」ことも現実的なものになってしまいかねません。
私たちはまずは大学から経営リテラシーを向上していくための方法を提案し、実行し、社会に発信していければと考えております。
ご指導ご鞭撻のほど何卒よろしくお願いいたします。
(2025年2月24日 記 横浜市立大学 国際商学部 准教授 伊藤智明)