12月に入り、フランスでの内閣不信任案の可決、韓国における「非常戒厳」による混乱、シリアのアサド政権崩壊など、世界における不安定化が加速していること、2025年に向けて先行きが、大変懸念される状況です。 シリアのアサド政権の崩壊については、突然生じたように見えるところ、特にアサド政権を支援していたロシアとイラン(ヒズボラ)の関与が、手薄になった影響との見方も出ています。ロシアによるウクライナ侵攻やパレスチナでの戦闘の長期化などが、地域の様々な問題が表面化しやすい状況に変化してきているものと思われます。 韓国の混乱も、朝鮮半島の情勢に不測の状況をもたらすかもしれません。地政学的に予期せぬ事象が表面化しやすいことも、大変心配されるところです。現在は世界の安定に見えることも、不安定なところに立脚していることが、まざまざと示されはじめていると思います。 『金融・資本市場リサーチ』16号から連載をはじめた「日本証券史」(1995年-1997年)の参考図書で、西村吉正著「金融行政の敗因」(文春新書、1999年10月)を読んでいたところ、日本のあり方を論じているところがあります(「これからどうするのか」235頁以降)。その視点では、25年後の現在の日本にも十分あてはまる内容が相応に記述されています。 西村氏の将来を見通す力が優れていたことを示していますが、そうした視点に応えていない現状こそ、忸怩たるところです。西村氏の重たい言葉 「マイナス成長、金融危機、企業倒産、失業増大など、すべては21世紀に向って跳躍するための筋肉の収縮である。新しい世紀に適したシステムに移行するためには避けて通れないプロセスである。わが国においては、過去への反省が社会に重くのしかかった後、将来への新たな発展が始まることが多かった。今こそ、その時であることを確信したい。」(252頁)。 まだ、これから間に合わせるためにも、金融・資本市場のあり方にとどまらず、日本国のあり方を考える題材を、2025年も提供していきたいと思います。 (2024年12月8日 記 (パールハーバーから83年・日米開戦の日) イノベーション・インテリジェンス研究所 幸田博人) |
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