2024年は、元日の能登半島地震からはじまり、豪雨や酷暑など自然災害や自然環境を巡る話が大変多かったです。また、紛争(ロシアのウクライナ侵攻、パレスチナ問題など)の継続に加え、選挙イヤーとも言われ、米国の大統領選挙に加え、欧州ではイギリス、フランス、アジアでは韓国、日本と行われました。総じて与党政権側に厳しい結果となっています。そうした世界的な情勢の不安定化に加え、次の世界に向けた羅針盤が定まらないことから、個々人にとっても落ち着かない日々が続きそうです。
今月に入り渡辺恒雄さんが亡くなり、一つの時代が終わったことが報じられております。これからの新しい時代に向けた取り組みを具体的にどう進めていくか、まだまだ考えあぐねる状況は続きそうです。
昨今、既存のマスコミからの情報やデータ分析、また有識者からの分析研究などの価値が若い世代を含めた国民に幅広く伝わっていないと思われます。もちろんこれは、SNS世代がそうした既存の価値を体現している情報にはアクセスしていないことが増えているからです。
一方で、OECDが実施した国際成人力調査(PIAAC)の結果が12月10日に公表されています。調査は11年振りで、日本の「読解力」と「数的思考力」は2位、「状況の変化に応じた問題解決力」は1位と、世界トップクラスの結果です。
ドイツは「読解力」11位、「数的思考力」11位、「状況の変化に応じた問題解決力」は9位、米国は、「読解力」19位、「数的思考力」25位、「状況の変化に応じた問題解決力」19位です。
日経新聞の分析(12月11日の日経新聞37面と42面)によれば、平均得点の高い若年層が全体の水準を牽引したとの評があります。また、当該3分野で上位を占めている北欧諸国は、30代から40代まで能力が伸びているのに対し、日本は能力上昇が20代で頭打ちになっているところが見てとれるとの日経新聞の分析でした。若い方の水準の高さと同時にそのポテンシャルが活かせていないことが見てとれます。
ここは、若年層のOJTやリスキリングの課題と読み解く一方で、シニア世代の好奇心なども課題かと思います。
来年2025年は終戦時から80年の期間が経過しており、歴史を振り返りつつ、新しいチャレンジを考える様々なイベントや取り組みが行われることとなります。あらためて新年のメルマガ11号エッセイでは、2025年のテーマについて寄稿します。
なお、日本の可能性を切り拓く視点やトランプ政権をどういう視点で見ていくべきかについて、以下の書籍が参考になります。
・ミレヤ・ソリース著「ネットワークパワー 日本の台頭」(日本経済新聞出版)2024年7月
・中山俊宏著「理念の国がきしむとき」(千倉書房)2023年3月
2025年も、金融・資本市場のあり方にとどまらず、日本国のあり方を考える題材を、提供していきたいと思います。
(2024年12月24日 記(年末を控えて)イノベーション・インテリジェンス研究所 幸田博人)