
7 月26日にパリ五輪の開会式が行われ、パリ開催は1900年、1924年以来の3 回目のオリンピックとなります。開会式は、セーヌ川を活用した新鮮なお披露目となった面がありました。
200を超える地域や国がセーヌ川を下っていく演出は目を引き、また今回のオリンピックは初めて男女同数の参加ということで、「多様性」が重要なテーマになっています。
今回のパリ五輪は、施設面でパリの歴史的建造物をよく活用していること、また種目ではアーバンスポーツなどの取り込み、そして「多様性」の力を前面に出していることから、古さと新さが共存するオリンピックであり、未来に向けたメッセージも感じられました。
政治的には、欧州ではEU の選挙やフランスの選挙において、右派やポピュリストが広がる危険な兆候があるにもかかわらず、このようなオリンピックが開催できるフランス、パリの長年培ってきたベースの力が見てとれます。
ここから将来の金融・資本市場を考えるには、概念的なことでしかありませんが、世界においてやはりグローバル化の重要性や「多様性」が世界にとっての力になることなどが見てとれ、それは金融・資本市場に与える重要なメッセージでもありましょう。
そうしたパリ五輪からの世界に向けたメッセージを、日本社会や経済のあり方にも反映させていくこと、そして、金融・資本市場の構造的なあり方論にも目配りをしていくことが必要だと考えます。
足元、局面が大きく変わりつつある金融・資本市場の状況を、社会や経済の構造問題とリンクさせて動かしていくための視点をどう提示していくかが重要となるのではないでしょうか。
(執筆者:イノベーション・インテリジェンス研究所 代表 幸田博人)