良いバブル・悪いバブル?(SBI大学院大学経営管理研究科 教授 柴崎 健氏)

経平均株価は先月に史上最高値を更新した後、史上最大の変動幅を記録しました。ようやくパニックは収まったものの、人々の楽観的マインドには明らかに変化が訪れています。今回の金融市場の乱高下は、年初来の投機筋の行き過ぎで、バブルが弾ける調整が入ったから当然の出来事だという見方もあるでしょう。しかし適正な価格や市場メカニズムはあるのかが改めて問われます。

かつて、「音楽が鳴っている間は、踊り続けなければならない。」という言葉が批判的に語られたように、経営者のモラルの問題はありますが、市場が持っている、行き過ぎる構造は特徴として捉えるべきものです。ランダムウォークが意味するところは発散過程であって、市場機能に常識的な水準に収束する機能はありません。

人々が市場機能を使いこなすことは難しい面もあります。それでも巨大なレガシーを排除し、常識という固定観念を打破してイノベーションを加速させるための資本主義経済の基盤であることは間違いではありません。

今回の株等の資産価格高が、将来の新たな社会を生み出すテクノロジーを生み出す人的資本の蓄積に繋がるのならば、意味のあるバブルと言えるかもしれません。良いバブルか悪いバブルなのか、そして今後我々にどのような結果をもたらすのか、備えるタイミングにあります。

金融市場の乱高下にあわてず、「金融・資本市場」の状況や構造などを見極めることが重要な局面だと改めて感じています。

(執筆者:SBI大学院大学経営管理研究科 教授 柴崎健)