9月の下旬に個人スマホを外出先で見ていたら、「国勢調査」の案内メールが2通続けて入っていました。
そういえば「国勢調査」5年振りに行われるということを思い出し、また「国勢調査票」が各家庭に届いていることも聞いていて、我が家にはまだ来ていない状況だったので、「国勢調査」ネットでもできるんだと、つい思ってしまいました。
そこで、そのメールをよく見ずにクリックしました。そして新たな画面が出てきて、「認証コードを送るので、携帯電話番号入れるように」とあり、つい携帯電話番号を入れて送りました。直ちに私の携帯電話番号へのメッセージで認証コードが送られてきました。この認証コードは「ポケモンセンター」からのもので全然関係ないものでしたが、私はなぜか不思議に思わず、この認証コードを入れてクリックしました。ここでなぜか次の画面にはいかずに、そこで終了(フリーズ)しました。
その後も特段の問題はないので一応今のところ被害はないのですが、すっかり詐欺グループの術中にはまっていました。1分間程度の間の話です。本件が詐欺であることは本来すぐに分かるはずですし、日ごろ「情報リテラシー」の大事さを説いている私としては、大変恥ずかしい限りです。
その後ネットで調べたところ、この「国勢調査」のポケモンセンター認証コードは典型的な例で、YouTube動画にも沢山の動画がアップされていて、また全く同じ手口が掲載されていて「そうしたことに引っかからないように」との警告がいくつもありました。でも私はそんなプリミティブな詐欺に引っかかったので、念のため独立行政法人の国民生活センターの消費者ホットライン「188(いやや)」に電話しました。
先方からは、本件詐欺の典型例です。とにかく、よくメールアドレスを見ればわかること、すぐに反応しないことなど各種のアドバイスをいただきました。さらに「本件については、詐欺グループに携帯電話番号とメールアドレスが知られただけなので、今のところ大丈夫でしょう。」とのことでした。
反省しきりですが、ついクリックしないようにしたいと思います。自宅に届いてなかった「国勢調査票」はその後も届かなかったので、当方より連絡したら届きました。これから提出する予定です。
皆さんが本件をご覧になると、あまりにネット素人と思われるでしょう。
でもこうした落とし穴は随所にあると思います。私自身は、こういう経験をしたことで今後の良きレッスンにしていきたいと思います。自分は大丈夫と思いがちなので、そうしたことには落とし穴があり危険もあるということで、恥ずかしながら私の経験談を披露させていただきました。
こうした失敗も乗り越えて収集された「国勢調査」データは、データ分析時代に相応しい意義をもって、様々な知見に活かされると良いと思います。私も「国勢調査」データを活用して、教育・研究面に活かしていきたいと思います。
この失敗談からも、シニアの方々が日々の日常をネット環境で過ごしていくこと、またアップデートがされることにキャッチアップし続けることには、相当なハードルがあることがわかります。その点とのストレートな関係性は必ずしもありませんが、シニア本、阿刀田高氏の『90歳 男のひとり暮らし』(新潮選書;2025年9月)を読みました。この書籍は新潮社の書籍紹介誌の『波』10月号に刊行記念特集が掲載されています。
川本三郎氏の「独居老人の「暢気」」と、阿刀田高氏と黒井千次氏の対談です。阿刀田氏の書籍に加えて、この『波』の特集をあわせて読むと有意義です。私は阿刀田氏の小説を長年愛読してきましたので、阿刀田氏が90歳を超えてこうした書籍を発刊したことは大変素晴らしいと思い、この書籍を手に取ってみました。
構成は「日々の暮らしと知恵」「私の好きなもの」「間奏曲です」「身体の声を聞いてみる」「生と死のあいだで」「最期の「ありがとう」その後」です。私は「日々の暮らしと知恵」に最も興味を持ちました。手料理をしていること、毎日の日課、不眠対策、片付けなど日常の生活を静かに送りつつも、充実して規則正しい生活を送っていることが見えてきます。
こうした日常の生活サイクルをきちんと継続していくことは大変うらやましいところです。そうした基盤は、長年の生活信条の持ち方や日々の実践の積み重ねから生まれてきているわけで、一朝一夕にできるものではないでしょう。若い方々は、こうした90歳本を読む意義があるのかと思うでしょうが、若いうちから日々の生活の心情をどう持ってどう取り組んでいるかに将来の生活は相当依存する気がしますので、こうしたシニアの知恵は参考になるものがあります。
私自身、こうした自立型の生活の基盤はどこまで出来ているかは、大変心もとないところではあります。『波』に掲載された川本三郎氏のエッセイには、「「自立」を平たくいうと、「自分のことは自分でできるように」とのこと。人間として生きていく上で、身の回りをきれいにし、自分で自分を食べさせるのが、自立の出発点だという。90歳の独居老人、阿刀田高さんは、その点で立派に自立している。」とあります。
阿刀田高氏と黒井千次氏の対談も興味深いです。黒井千次氏は私のメルマガ24号でもシニア本として紹介した小説家です。5頁にわたるお二人の対談は、お二人の「いい味」を出していて、かつ自然体です。
こんな生き方は、あこがれも感じるところですが、簡単にはいかないでしょう。是非、阿刀田氏の書籍に加えて『波』もご覧ください。
皆さんから、本エッセイ含めてご意見をお寄せください。
(2025年10月5日 記(高市早苗氏が自民党新総裁に選出の翌日) イノベーション・インテリジェンス研究所 幸田博人)
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