
今年の夏は、1987年のブラックマンデーを超える金融・資本市場の暴落と乱高下、岸田総理の総裁選不出馬表明に始まる政局の動き、お盆の夏休みを直撃した地震や台風など、混とんとしたニュースが多かったようです。
また、海外に目を向けると、米国の大統領選を巡ってはバイデン大統領の不出馬により雰囲気が変わりましたし、イスラエル・ハマス戦争を契機として中東地域もきな臭い状況が続いています。
しかしながら、少し明るい気持ちで見ると、パリオリンピックにおいては20個の金メダルをはじめとする日本選手団の活躍に盛り上がり、コロナ禍以前と変わらない楽しい夏休みを過ごされた方も多いのではないかと思います。
この夏の出来事を思い返してみると、ひとつの事案に拘泥せず、少し視野を広げて俯瞰するだけで、ずいぶん景色も気分も変わるようです。
金融・資本市場に対する投資家の姿勢も同様で、8月5日の株式市場の暴落の際に、投資家の多くは急激な状況変化にショックを受け、パニックとなった方も多いのではないでしょうか。NISAの利用が拡大する中で、投資初心者である個人投資家なかには、投資の怖さを感じた方も多かったと思います。
他方、機関投資家の多くも、市場の急変に対して混乱したのは同様でありながらも、拙速な投資判断は行わず、冷静な情報収集と行動に努めたと聞いています。マーケットとは必ず変化するという事実を忘れることなく、バッドニュースに溺れず、より広い視野で冷静に考えることが重要だと思い知らされました。
そのためにも、金融・資本市場の本質について、さまざまな情報に触れ、勉強し、見識を広げることが大切だと再認識しました。
みなさんは、暑い夏を冷(たく)静(か)に過ごせましたか?
(執筆者:2024年8月15日 記 京都大学経営管理大学院 客員教授 上田亮子氏)