#24 暑い夏の過ごし方~読書は成長の宝庫です~

今年も一段と深刻化している暑さが、連日の話題トップです。
私は週1回京都に通っていますので、京都の暑さも身にしみる凄さとして実感しています。
こうした暑さには、かき氷や日傘対策に加え、自宅で冷房の下で過ごすことも重要でしょう。そうした暑さ対策をしながらですが、今回のエッセイでは「暑い夏の過ごし方~読書は成長の宝庫です~」としました。

筆者のこのメルマガ連載エッセイでは、時々様々なテーマの新書を皆様に紹介しています。お忙しい方が多いと思うので、分厚い単行本よりは手軽な新書の方が良いのではと思い、意図的に新書をピックアップしています。

今回は、シニア本と言われる新書を4冊取り上げます。

たまたま先週、相応の年齢の筆者は2回老いを感じるケガをしました、身辺雑記的なエッセイで申し訳ありませんが、最初は家の中で大きなペットボトル6本入りの箱につまずき、窓ガラスに頭をぶつけ倒れて右腕の肘を負傷しました。

その後、週末に京都でホテルに1泊していて、深夜3時頃目が覚めトイレにと思い動いた途端ベッドから転落し右目の上を切り、血が噴き出し大変でした。シニアにはよくある話ですが、自分自身で経験すると色々と思いを馳せます。

今回ご紹介する新書は4冊、すべていわゆるシニア本です。このシニア本は書店に行くと驚くほど沢山あり、新書の中でも一定の読者がついている人気のエリアと思われます。

私も時々気が向くまま、よくこうしたシニア本を購入し読んでいます。

林望著『定年後の作法』(ちくま新書;2020年12月)、畑村洋太郎著『老いの失敗学』(朝日新書;2024年1月)、丹羽宇一郎著『老いた今だから』(講談社現代新書;2024年3月)黒井千次著『老いの深み』(中公新書;2024年5月)です。

どの方もとても有名な専門家・小説家などで軽妙なエッセイストでもあることで、楽しく気軽に読める新書です。
共鳴するところも多々ありつつ好みの分かれる示唆もありとは思いますが、それぞれの人生の来し方行く末を考えるには暑い夏に相応しい新書ではと思った次第です。

もちろん現役世代の方には縁遠い話でしょうが、上の世代にも思いをはせるということもあるのではないでしょうか。

林望氏『定年後の作法』では、「孤立を恐れないと覚悟を決める」(第1章)、「体と心のペースをつかむ」(第4章)などに気持ちがひかれました。

畑中洋太郎氏『老いの失敗学』では、「「悪い老い」に気をつける」(第2章)、「「老い方」は人それぞれ」(第4章)が興味深いです。

丹羽宇一郎氏『老いた今だから』では、「老いの変化を受け入れる」(第1章)、「私たちはどう働くのか」(第4章)が、経営者としての視点として光ります。

黒井千次氏『老いの深み』は、小説家が老いを見つめる冷静な視点と、回顧と現在の交錯が見事です。このエッセイは、読売新聞に連載したものを取りまとめたもので4冊目(『老いのかたち』『老いの味わい』『老いのゆくえ』が既刊済)となります。

シニアの方々がこうした新書で気軽に様々な日常生活から考えていることを率直に発信していることは大変参考になり、貴重です。

今回は、筆者自身のケガからあらためてシニア本を紐解かせていただきました。すべて男性からの視点になっていること、これはまずいと思いつつも、筆者にとっては諸先輩の方々から受け取れる重要なメッセージとして感じました。

書店に行くとこうしたシニア本、本当に多いです。たまには金融・資本市場のあわただしい世界から少し離れてみても良いかもしれません。

この24号のエッセイは身辺雑記風で申し訳ありませんでしたが、次回以降は、経済、金融、資本市場、世界情勢などを視野に入れてメルマガ2年目に突入しますので、引き続き月2回発信していきたいと思います。

これだけの激動の時代をどう経験してこれを乗り越えていくか、今年は戦後80年の文脈から考えるべきことがとても多いと感じています。

戦後80年としての暑い夏もいよいよメモリアルな8月です。そうしたことで戦後80年を振り返ることは我々にとってとても大事だと思います。

今後もそうした視点で引き続き発信させていただきます。

是非皆さんから本エッセイ含めて、ご意見をお寄せください。

(2025年7月12日 記(京都はこれから祇園祭りの季節です) イノベーション・インテリジェンス研究所 幸田博人)