日本の選挙において、SNSが大きな影響を与えはじめたという特異な状況に大変注目が集まっています。SNSにどういう題材が提供され、それがどういう形で共鳴度が高まり、日本の選挙にインパクトが生じているのか、興味深いところです。 東京都知事選にはじまり、衆議院総選挙、そして兵庫県知事選挙と、SNSの動き抜きには語れない状況となりました。 筆者のように、新聞、テレビ、インターネット情報をベースでSNSはほとんどチェックせずに様々な事象を観察、分析している人間からすると、SNSの影響力の高まりをいよいよ無視できないことは理解するべきだろうという心境にようやくなりました。 兵庫県知事選におけるNHKの出口調査で、「投票する際に何を最も参考にしたか」と聞いたところ、「SNSや動画サイト」が30%で、「新聞」24%、「テレビ」24%を上回りトップでした。もはや、無視はできないことは明らかです。 政治に関心が十分持ちにくい人々を政治に近づけていく重要な試みである一方で、有識者やマスコミからは、SNSにおける誤情報や憶測情報が含まれ課題が多いとの指摘は相応にあります。 筆者が本メルマガ6号で、教育での生成AI利用に関する文科省のガイドライン資料の中で、「フィルターバブル現象」(⾃分の好む情報「だけ」に囲まれ、多様な意⾒から隔離されやすくなる現象)、「エコーチェンバー現象」(同じような意⾒が、閉ざされた空間の中で反響して⼤きくなっていく現象)についての懸念に関し記述しましたが、生成AIのみならずこうしたSNS利用においても、同様の懸念があるということだと理解しました。 今回のSNS事象の中で、特に注目されるのは、SNSの中である種のストーリー作りや「物語」の構成がなされ、そこに共感が生まれるという指摘です。 資本市場においても、企業のある種の将来に向けたエクイティストーリーやビジネスモデルの将来像の中で、市場の取引が行われていることと、何か、共通している要素が感じられます。投資家も個々人も本来的には、「物語」を必要とするということでしょうか。 生成AI時代、SNS時代をどう考え、個々人のスタンスをとっていくのか極めて重要なイシューです。このSNSに関して色々と考えるにあたり参考となる書籍は沢山あります。次回以降の筆者のエッセイで、そのあたりもいくつか紹介したいと思っています。 筆者は、SNSについて出遅れ感が強かったと思いますが、これからSNSの様々な現象から見えてくることをどうスコープに入れ、的確な形で咀嚼できるか「学び」つつ、考えていく必要があります。 そういう時代に入ったと思われます。 (2024年11月25日 記 イノベーション・インテリジェンス研究所 幸田博人) |
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