自由になる時間が増えるって本当に素晴らしいことですね。3月末で常勤のお仕事を卒業した私は、平日に美術館巡りをする生活を満喫中です。
この春は万博の影響で関西にお宝が集結!90周年の徳川美術館(名古屋)、55周年の足立美術館(島根県)など、各地の美術館も魅力的な企画満載なので、地方にも積極的に足を運んでいます。
そんな中、先日は京都へ。目的は母校京大の女子学生向けイベントへの参加だったのですが、せっかくなので二条城で開催中のドイツの現代美術家キーファーの個展(※1)に立ち寄りました。
とにかく圧巻。二の丸御殿台所・御清所とその周辺の庭園に展示された作品の世界に、私たち鑑賞者は容赦なく飲み込まれていきます。特に原爆投下をテーマに本展のために制作された大作「オクタビオ・パスのために」は衝撃的。
人類最後の日のような焦土から悲痛な叫びがきこえ、苦しくて動悸が激しくなるほどなのです。戦後80年の今、私たちは何に向き合い何を生み出すのか、キーファーは問いかけてきます。
それにしても、なぜ京都?なぜ二条城??
解説によるとキーファーは西田幾多郎の哲学に深い共鳴を見出しているとのこと。また、煌びやかな色彩は二の丸御殿を彩る狩野派の障壁画ともシンクロしているそうで、この場所だからこそ感じる特別な感情、深い思索を得られたように思います。本当に素晴らしいアート体験でした。
夕方は京大のイベントでご一緒した久能祐子さんの案内で、彼女が創設したインキュベーション施設「toberu」(※2)を見学しました。開放的な空間には様々なアートがあります。イノベーションを励起するには特別な空間が必要で、アートもアイデアを刺激する大事な要素の1つなのだそうです。
そういえば名古屋にあるオープンイノベーション拠点「STATION Ai」(※3)もそこかしこにアートが飾られていました。こちらのアートは今、注目度上昇中のヘラルボニー(※4)の作家のもの。ここでもアートはイノベーションを生み出す環境作りにおいて重要な役割を果たしています。
キーファーのような衝撃的な体験も、日常の中にあるアートも、豊かさと潤い、そして新しい発想をもたらしてくれます。今年は年間100回の美術館巡りが目標。楽しみと刺激を求めて、各地をまわろうと思っています。
※1 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD030GH0T00C25A6000000/
※2 https://www.phoenixi.co.jp/about/project/
※3 https://stationai.co.jp/
※4 https://heralbony.com/
(2025年6月15日 記 みずほ卒業生 絹川幸恵)