多様な「学び」の大切さ(株式会社コメ兵ホールディングス 取締役 中原義子氏)

新緑が目に鮮やかな5月、初夏の心地よい風を感じながら、普段考えている『多様な「学び」の大切さ』について、書きたいと思います。

金融業界でキャリアをスタートし、目まぐるしい日々を送っていた入社数年目。訪問先の社長から言われた言葉が心に残っています。こちらから仕事の話をひとしきりした後に一呼吸おいて「仕事の知識を覚えることも大事だけど、仕事以外の多くの知識を身に着けると、話により深みがでて、幅広い視野で相手の心に響く話ができると思うよ」との趣旨のお話をされたのです。

続いて「たとえばランチ。仕事仲間と連れ立って、短時間でかきこんで済ませるばかりではなく、たまには景色が見えるレストランで満開の桜を見ながら落ち着いて食べる、気持ちの余裕をもつことも大事」と話されたのです。

精神的なゆとりをもつ、物事を広い視野で俯瞰して捉えることの大切さなど、目の前の事に必死だった私が「学び」を得た瞬間でした。

ひとくちに「学び」といっても様々な「学び」があります。

専門的なスキル習得をメインとした「リスキリング」。

特定の専門分野に特化せず、幅広い知識や教養を学ぶ「リベラルアーツ」はあらゆる知識をもって深く思考することで、ビジネスの場でも多様な戦略や適切な課題解決法を導く力になるとされ、大学の教育機関や企業の幹部教育に取り入れられるなど注目されています。

自分をありのままに受け入れて自分を理解する「こころの学び」、仕事を通じた知人や友人、家族との会話から新たな気づきを得る「学び」、書籍やメディア等、多様な「学び」がありますが、これらを自ら能動的に学ぶ姿勢が大切だと実感しています。

社会課題が複雑になり、将来の予測が難しい時代には与えられた課題に対処するだけでなく、「問い」も自ら見つける必要があります。基本的には自分の頭のなかにある知識や経験に応じて、物事に対する理解度は変わります

自身の軸となる専門知識に加え、教養をはじめとする知識の幅が広がれば広がるほど、1つの物事への新たな選択肢も見つけやすく、適切な判断力が可能になります。

日頃から新しいインプットのために「心の余白」をもち、仕事で主に使う左脳とのバランスのため右脳を活性化すべく美術館巡りや、自然との触れ合い、観劇や旅行などで自由な思考力や創造性を育むよう心がけています。

また自らが「学び」を発信し社会に貢献できるよう、アンテナ高く最新情報のアップデートなど自己研鑽に努めています。インプットした「学び」はアウトプットすることも大切だと思う次第です。
                          
本エッセイが、少しでもみなさまの気づきにつながればうれしく思います。
最後までお読みいただいたみなさまと貴重な「学び」の機会を頂きました幸田様に感謝の意を表します。

(2025年5月5日 記 株式会社コメ兵ホールディングス 取締役 中原義子)